NICE SKILL

人を助けすぎて自分が疲れる。親切は、無限でなくていい

誰かが困っていると、助けたくなる。

仕事なら、なおさらです。

自分が知っていることなら教えられる。

少し手を出せば早く終わる。

相手が困らずに済むなら、その方がいい。

そう思って動くこと自体は、悪くないと思います。

ただ、それが何度も続くと、少しずつ自分の仕事と時間が削られていきます。

気づけば、誰かを助けるために自分が疲れている。

そんなとき、助けることを全部やめなくてもいいと思います。

まず分けたいのは、親切そのものではありません。

親切を、無限にしないことです。

助けることが嫌なのではなく、助け続けることが苦しい

頼られるのは、うれしいこともあります。

自分の経験が役に立つ。

困っていた人が進めるようになる。

「助かりました」と言ってもらえる。

だから、また助ける。

一つ一つは小さなことかもしれません。

ちょっと確認する。

代わりに電話する。

資料を直す。

調べ物をする。

相談に乗る。

でも、それが一日に何度も重なると、自分の仕事を始める時間がどんどん後ろへずれていきます。

それでも、頼られること自体は嫌ではない。

ここが少し難しいところです。

嫌なら全部断ればいい、という話ではありません。

助けたい気持ちを残したまま、自分も潰れない形にする必要があります。

親切には、量と深さと継続がある

私は、誰かを助けるときに三つを分けて考えると分かりやすいと思っています。

いまの自分は、どれくらい出せるのか。

5分なら出せるのか。

30分なら大丈夫なのか。

今日はもう余力がないのか。

親切だからといって、自分の時間が無限に増えるわけではありません。

深さ

どこまで手を出すのか。

情報を渡すだけでいいのか。

一緒に確認すればいいのか。

途中まで手伝えば進めるのか。

全部こちらで処理する必要があるのか。

同じ「助ける」でも、かなり違います。

継続

今回だけなのか。

次も自分がやるのか。

今後の担当になるのか。

ここを決めないまま何度か助けると、親切がそのまま役割になることがあります。

一度助けたからといって、次も自分がやると決まったわけではありません。

自分の余力も、親切の条件に入れていい

人を助けようとするとき、相手の事情はよく考えます。

急いでいるのかな。

困っているのかな。

このままだと間に合わないのかな。

でも、自分の事情は後回しにしやすい。

自分の仕事が残っている。

今日はすでに疲れている。

このあと別の予定がある。

これを引き受けると、明日に響く。

そういうことも、本当は同じくらい条件に入れていいと思います。

自分の余力を考えることは、冷たいことではありません。

続けられない親切は、どこかで急に止まります。

だから最初から、自分が続けられる範囲を含めて考える。

私はそれを、有限の親切くらいに考えています。

見返りを求めるわけではない。

助けた分だけ返してほしいわけでもない。

ただ、自分が差し出せる量には限りがある。

その限りを無視しない親切です。

一段浅く手伝っても、冷たいわけではない

前の記事で、私は「自分がやった方が早い」と思ったとき、一段だけ浅く手伝えないか考える、と書きました。

これは、親切にも使えます。

全部調べて答えを渡す代わりに、見る場所だけ伝える。

全部作る代わりに、最初の形だけ一緒に作る。

最後まで処理する代わりに、途中で一度確認する。

代わりに決めるのではなく、判断材料を整理する。

それでも十分助けになっていることがあります。

「全部やってあげないと親切ではない」と考える必要はありません。

少しだけ差し出す。

必要なところだけ支える。

それも親切です。

側にいる。でも、抱え込まない

NICE SKILLでは、助けることと背負うことを分ける関係を「側に」と呼んでいます。

人を助けすぎて疲れるとき、私はこの言葉が一番近いと思っています。

側にいる。

困っていたら気にかける。

できることがあれば差し出す。

必要なら自分から動く。

でも、相手の困りごと全部を自分の中へ持ってこない。

相手が持てる仕事は、相手のところに残す。

自分の余力も残す。

胸は開いておく。手も差し出せる。でも、抱え込まない。

親切は、そのくらいでもいいと思います。

緊急なら、深く助けていい

もちろん、いつも有限に、いつも浅く、で済むわけではありません。

安全に関わる。

顧客へ大きな影響が出る。

重大なミスを防がなければならない。

その場で誰かがやらないと止まる。

そんなときは、深く助けた方がいいこともあります。

全部引き取った方がいい場面もあります。

握らない強さも、有限の親切も、「絶対に人の仕事をしない」というルールではありません。

必要な一手は打つ。

ただ、落ち着いたあとで、

今回は救援だったのか。これからも自分が持つ役割なのか。

そこだけ分け直します。

救援を、そのまま永続的な担当にしないためです。

今日のちょっと

次に誰かを助けようと思ったら、動く前に一度だけ考えてみてください。

「今の自分は、どこまでなら気持ちよく差し出せる?」

5分かもしれません。

見る場所を伝えるだけかもしれません。

今日は余力がなくて、明日ならできるかもしれません。

全部助けるか、何もしないか。

その間にも、親切はたくさんあります。