「自分がやった方が早い」が止まらない。手伝うことと、仕事を引き取ることを分ける
「もう、自分でやった方が早いな」
仕事をしていると、そう思う場面はあります。
実際、その通りのこともあります。
説明するより自分でやった方が早い。
確認して、直して、また説明するくらいなら、自分で終わらせた方が早い。
急いでいるときほど、そうなります。
だから、この感覚そのものを否定しなくていいと思います。
ただ、ここで一つだけ分けたいことがあります。
自分がやった方が早いことと、自分が代わりにやるべきことは、同じではありません。
一度だけ助けるつもりだったのに、気づけばその仕事が毎回自分へ戻ってくる。
そうなる前に、手伝うことと、仕事そのものを引き取ることを分けてみます。
目の前の一回だけなら、本当に自分でやった方が早い
自分の方が経験がある。
やり方も分かっている。
必要な情報の場所も知っている。
そういう仕事なら、自分でやった方が早いのは自然です。
相手へ説明するには時間がかかります。
途中で確認も必要になるかもしれません。
納期が迫っているなら、そんな余裕がないこともあります。
だから、緊急のときに自分で処理することまで悪いとは思いません。
問題は、その一回が、そのまま次回の役割になるときです。
毎回やると、その仕事は自分へ戻ってくる
誰かに聞かれたとき、全部こちらで処理する。
次に同じことが起きたときも、またこちらへ来る。
それを何度か繰り返すと、
「これはあの人に聞けばいい」
「これはあの人がやってくれる」
という流れができます。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
正式に自分の役割なら、それでいい。
自分が担当したい仕事なら、それもいい。
でも、本当は相談に乗っただけだったのに、いつの間にか最後まで処理する人になっているなら、一度分けた方がいいと思います。
助けたことと、担当になったことは別です。
これは、仕事を頼まれると断れない話とも、できる人に仕事が集まる話とも少し違います。
今回は、自分の方から仕事を回収してしまう話です。
全部やる前に、手伝う深さを一段浅くする
誰かが困っているとき、できることは「全部やる」だけではありません。
必要な情報だけ渡す。
考え方だけ伝える。
一緒に確認する。
最初の一歩だけ見せる。
途中まで手伝う。
最後だけ確認する。
そして、本当に必要なら全部引き取る。
この間には、かなり幅があります。
私は最近、すぐ全部を取りに行く前に、
一段だけ浅く手伝えないか
と考えるようにしています。
たとえば、相手が調べ物で詰まっているなら、自分で調べて答えを完成させるのではなく、見る場所だけ伝える。
書類の作り方が分からないなら、全部作るのではなく、最初の形だけ見せる。
判断に迷っているなら、代わりに決めるのではなく、何を確認すれば決められるかを一緒に整理する。
それで進めるなら、仕事は相手のところに残ります。
答えを知っていても、すぐ完成させない
これは少し変な話ですが、答えを知っている人ほど、すぐ答えを出せてしまいます。
だからこそ、全部答えない方がいい場面もあります。
「どこまで確認した?」
「あなたはどう思う?」
「ここまでは合ってる。次はどうする?」
そんなふうに一度だけ聞いてみる。
私はこれを、勝手に
知ってる。でも聞く。
くらいに考えています。
相手を試すためではありません。
自分が答えを知っているからといって、相手の仕事まで完成させなくていいからです。
相手が考えるところを残す。
相手が決めるところを残す。
相手が持てる仕事は、相手のところに残す。
その方が、こちらも抱え込まずに済みます。
在る。側に。でも、取らない
NICE SKILLでは、必要なときに届くところにいることを「在る」と呼んでいます。
そして、助けることと背負うことを分ける関係を「側に」と呼んでいます。
仕事でも同じです。
困っている人を放っておく必要はありません。
聞かれたら答えていい。
必要なら手伝っていい。
自分から声をかけた方がいいこともあります。
でも、助けることと、その仕事を自分のものにすることは別です。
側にいられることと、代わりにやることは同じではありません。
手を差し出す。
でも、相手が自分で持てる仕事まで取らない。
そのくらいの距離が、仕事ではちょうどいいことがあります。
緊急なら、自分でやっていい
ここまで書いておいてですが、毎回きれいに任せられるわけではありません。
安全に関わる。
大きな損失が出る。
顧客へ影響する。
締切が目前に迫っている。
そんなときは、自分でやった方がいいこともあります。
握らない強さは、「絶対に人の仕事をやらない」というルールではありません。
必要な一手は打つ。
だから、必要なら助ける。
必要なら引き取る。
ただ、落ち着いたあとで、
今回は救援だったのか。これからも自分の担当なのか。
そこだけは分け直します。
一度助けたことを、そのまま永続的な役割にしないためです。
今日のちょっと
次に、
「自分がやった方が早い」
と思ったら、全部引き取る前に一度だけ考えてみてください。
「一段だけ浅く手伝うなら、何ができる?」
答えを教えるだけでいいかもしれません。
見る場所を伝えるだけでいいかもしれません。
最後だけ確認すれば十分かもしれません。
全部やるのは、そのあとでもできます。