NICE SKILL

人に期待して疲れる。期待をなくすより、約束と希望を分ける

人に期待して、思った通りにならなくて、疲れる。

そんなことがあります。

「これくらいしてくれると思った」

「分かってくれると思った」

「前はしてくれたから、今回もしてくれると思った」

期待が外れると、がっかりします。

相手との距離が近いほど、余計に気になることもあります。

だから、

「もう人に期待しない方がいいのかな」

と思うこともあります。

でも、私は期待そのものをなくさなくてもいいと思っています。

大切な人に期待することもある。

信じたいと思うこともある。

こうなったらうれしい、と思うこともある。

そこまで消さなくていい。

ただ、一つだけ分けたいことがあります。

期待は自分の中にあっていい。約束は、二人の間にある。

自分の中の「してくれるはず」を、相手も知っている約束として扱わない。

それだけでも、人に期待して疲れる感じは少し変わります。

期待すること自体は、悪くない

誰かと関わっていれば、期待は生まれます。

この人なら分かってくれそう。

困ったときは助けてくれそう。

次も連絡をくれそう。

一緒にやってくれそう。

そう思うことはあります。

それは、人を大切に思っているからかもしれません。

信頼しているからかもしれません。

単純に、そうなったらうれしいと思っているだけかもしれません。

だから、期待してしまう自分をすぐに直す必要はないと思います。

問題は、期待があることではありません。

自分の中の期待が、いつの間にか相手の義務へ変わることです。

「してくれるはず」が、約束に変わると苦しくなる

たとえば、

自分なら相手が困っていたら声をかける。

だから、相手も自分が困っていたら声をかけてくれると思う。

前に一度手伝ってくれた。

だから今回も手伝ってくれると思う。

親しい関係だから、これくらいは言わなくても分かると思う。

そういう期待は自然に出てきます。

でも、相手と確認したかというと、していないこともあります。

自分の中では「当然」になっている。

相手の中では、そもそもその期待を知らない。

この差があると、期待が外れたときに、

「どうしてしてくれないの?」

「大切にされていないのかな」

「自分ばかりやっている気がする」

と苦しくなりやすい。

もちろん、本当に大切にされていない関係もあるかもしれません。

でも、期待が外れたことだけで、そこまで全部は分かりません。

まず、期待と約束を分けます。

期待、依頼、約束を分ける

私は、人に期待して疲れたとき、三つに分けると分かりやすいと思っています。

期待

自分の中にある、

「こうしてくれたらうれしい」

です。

相手が知っているとは限りません。

依頼

その期待の中で、相手にしてほしいことを言葉にすることです。

「これ、お願いできる?」

「こうしてもらえるとうれしい」

「この日は連絡をもらえる?」

そんなふうに伝えます。

依頼したからといって、必ず相手が応じるとは限りません。

相手には、受けるかどうかを決める余地があります。

約束

二人で、

「じゃあ、こうしよう」

と決めたことです。

これは、自分の中だけの期待とは違います。

一緒に決めたことなので、守れないときは確認したり、話し合ったりできます。

この三つを分けるだけでも、かなり違います。

してほしいなら、察してもらうより小さく伝える

期待があるとき、

「本当に大切なら、言わなくても分かるはず」

と思うことがあります。

でも、分からないこともあります。

自分が相手をよく見て、先回りして動く人ほど、

「自分なら気づくのに」

と思いやすいかもしれません。

でも、自分が気づけることと、相手も同じように気づくことは別です。

してほしいことがあるなら、言える範囲で言葉にした方が分かりやすい。

大きな説明でなくてもいいと思います。

「これ、お願いできる?」

「私はこうしてもらえるとうれしい」

「どう思ってる?」

それくらいでもいい。

相手の気持ちを知りたいなら、推測を積み上げるより、聞けるときは本人に聞く。

それも、自分から打てる一手です。

伝えた後は、相手の選択を残す

ここが一番難しいところかもしれません。

自分の希望を伝える。

お願いする。

気持ちを聞く。

そこまでは、自分にできます。

でも、伝えたからといって、相手が自分の望む通りに答えるとは限りません。

お願いを断るかもしれません。

考え方が違うかもしれません。

「それはできない」と言うかもしれません。

伝えることと、相手を動かすことは別です。

期待を伝えることはできる。でも、期待した通りに相手を動かすことまではできません。

相手の答えを聞いたら、その答えを材料に、自分の次の一手を決めます。

それでも関わるのか。

別の方法を探すのか。

距離を変えるのか。

もう一度相談するのか。

そこは自分が決められます。

でも、相手の答えそのものを、自分の希望に合わせることまではできません。

約束したことまで「期待しない」で済ませなくていい

逆に、何でも

「人に期待しない方がいい」

で済ませる必要もありません。

二人で決めたことがあります。

約束した予定。

一緒に決めた役割。

連絡すると決めたこと。

守れないときの連絡方法。

そういうものまで、

「期待した自分が悪かった」

にしなくていい。

約束したことなら、

「この前こう決めたけど、どうする?」

と確認できます。

必要なら、約束を変える話もできます。

期待と約束を分けるのは、相手に何も求めないためではありません。

一人で思っていたことと、二人で決めたことを、同じにしないためです。

人を大切にすることと、期待通りに動いてもらうことは別

人を大切に思うと、期待は出てきます。

この人なら、と思う。

分かってほしいと思う。

一緒にいてほしいと思う。

その気持ちは、なくさなくていいと思います。

ただ、相手も一人の人です。

自分とは違う考えがあります。

違う時間があります。

違う事情があります。

自分が相手を大切にしていることと、相手が自分の期待通りに動くことは別です。

そこを同じにしない方が、むしろ人を大切にしやすくなることがあります。

握らない強さ

NICE SKILLでは、自分がやるべき一手は打つけれど、その先まで全部を支配しようとしないことを、握らない強さと呼んでいます。

人に期待するときも同じです。

自分が何を望んでいるのか知る。

必要なら伝える。

お願いする。

一緒に決められることは話し合う。

約束したことなら、必要な確認もする。

そこまでは、自分の一手です。

でも、相手がどう答えるか。

相手が何を選ぶか。

その先の関係がどうなるか。

そこまで全部、自分で決めることはできません。

期待は持っていていい。相手の選択まで握らない。

それくらいの方が、人との関係を残したまま、自分も少し楽でいられると思います。

今日のちょっと

いま誰かに、

「こうしてくれるはず」

と思っていることがあったら、一度だけ分けてみてください。

「これは、私が期待していること? それとも、二人で決めたこと?」

期待なら、必要なら伝える。

約束なら、必要なら確認する。

相手が知らない期待なら、まずそこから。